心に届く歌
『シエル!』
彼女は、笑っていた。
優しい、日だまりみたいな明るい笑顔で。
迷わず僕の手を握ってくれた指先からは、ぬくもりが伝わってきた。
偽物でも嘘でもない、優しいあたたかなぬくもり。
「……エル、様」
人間が怖くて。
自然と閉じてしまった心。
最近、少しだけ開けてきた。
鍵となってくれたのは、間違いなく彼女だった。
『シエル!』
「っ!!」
カターンッ
床に、カッターナイフが落ちる。
僕は空いた右手で左手首をぎゅっと押さえ込んだ。