約束のキミを。

お母さん

｢レン！会いに来ーたよ！寂しかったかぁー！？」

ドアが開いて、入っきたのはレンのお母さんだ。レンは一週間ちょっと入院してるけど、会うのはこれで3回目だ。

レンの茶色っぽい髪と違って、ベリーショートの黒髪に、黒いスーツ、仕事のできるサバサバした綺麗な女の人って感じた。
スタイルが良くて、おちゃめなところがあって、可愛らしい。気取らないところも親近感が湧く素敵なお母さんだ。

｢全然寂しくないから！」

レンが軽口で言う。

｢はいはい。寂しくて泣いてたんでしょ？再会のハグする？」

お母さんが、ノリよく言った。


｢遠慮しとく…。」
レンは、呆れ気味に言う。


ホントにいい親子だ。

｢てか！夏休みの宿題したの？」

｢あ、してない…。」

レンが言いづらそうに呟く。

｢いい？宿題しなかったら、美空ちゃんにこの前の通知表見せびらかすわよ！」

レンのお母さんが、楽しそうに言う。

｢だ、ダメ！！通知表は勘弁して！」

レンあわててる…。


つい笑ってしまう。

｢あ、美空ちゃん！これ！」

レンのお母さんが、こっちを向くとにっこり笑って箱を差し出した。

｢え？これは？」

｢レンにね、チョコ好きって聞いたから！ホワイトチョコなんだけど、期間限定ですごく美味しくってさ、絶対美空ちゃんに、食べてほしくって！！」

｢いいんですか？ありがとうございます。」

｢あたりまえじゃない！受け取って！

あー、こんな可愛すぎる娘ほしーわー。レンに女装させようかしら。」

ニヤリと笑うお母さんはに、嫌そうに顔をしかめるレン。

こういうところに生まれたかったなって本気で思う。

レン家だけじゃない。勝くんのお母さんは、勝くんと真逆で、おしゃべりが大好き。おしゃれで若々しくて、優しく明るいお母さんだ。

千奈ちゃんのお母さんは、千奈ちゃんそっくりのふわふわな雰囲気で、温和でいつもニコニコしてて、世話好きで、趣味がお菓子づくりの春の日差しのような温かい雰囲気のお母さんだ。

｢あ、ヤバ！仕事行かなきゃ！レンー。美空ちゃんー。そろそろ帰るねぇー！」
レンのお母さんは、軽く手を振るとヒールの音を響かせて出て行った。