約束のキミを。

私の家

「いいなぁー。レンのお母さんは。」

気がついたら、呟いていた。

「そういえば、みくの母さんに会った事ないね。」

「あ、うん。私のお母さんあんまり来てくれないんだ…。私の事嫌いだから…。ほんとはね、心臓の病気でも家に帰っても安静にしていれば大丈夫なの。」

レンは、驚いたような顔をする。

私は、レンにニッコリと笑うと、

「でも、家に私がいたら邪魔みたい。
だからお父さんはこの病院を建てたの、私を閉じ込めておくためにね。だから、お父さんに多額を貰ってる院長先生はお父さんに頭が上がらないの。

お父さんのいいなりで、私に外出許可も出してくれない。」

私がそういうと、レンはますます驚いた顔をした。

「え?ちょっと待って!この病院建てたって…。もしかして、みくってお金持ち?」

「うーん。どうだろう…。
私のお父さん社長さんなの。和斗のお父さんと二人で頑張ってるみたいだけど…。西園寺財閥とか西園寺グループって知らない?他にも呼び方もあるみたいだけど…。」

私が、そういうとレン目を見開いて

「えぇー!世界的なお金持ちじゃん!銀行にホテル、船に、建設会社、車いろいろな下請け会社を持ってるんだよね!てか、社会の教科書に載ってるくらい有名じゃん!めちゃくちゃ金持ちなんだろ?お手伝いさんとか、たくさんいるんじゃないの?すごい!」

レンが興奮気味に言う。

「うーん。よく知らないんだぁ。お手伝いさんとか運転手とかはいろいろいるみたいだけどね…。」

「でもさ、何で金持ちなのに、このサイズの総合病院なんだろう。たしかに広いけどさ、すごい財閥なんだしもっと広いかと思った。」
レンが拍子抜けという感じに言う。

「それはね、本当はもっと広くて最新設備の整った病院を海外に作ってるみたい…。でも、ここは私を閉じ込められればいいだけの場所だから…。」
言いながら、まつ毛を伏せる。
レンは、何も言わなかった。




レンに気を遣わせちゃったな…。


そう思いながら顔を上げて微笑むと、レンもこっちを見て笑ってた。
「大丈夫だよ」
レンはそう言って笑った。
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