地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜



入社して俺のアシスタントとに玲美がなった。
隣の机に座るだけでも嬉しかった。


だけど俺は社会人になるにあたり、地味男を演じる事にした。
周りからはキャーキャー騒がれて、働き出してまでそれを言われるのも嫌だったからだ。
真面目そうに見えるために、髪の毛も黒くして、ワックスで遊ばせていた髪も真っ直ぐおろし、もともと目が悪かった俺は、コンタクトをやめて眼鏡をかけるようにした。
周りの友達にも別人だとか、そのままだったら誰にも声はかけられないダサ男だなと言われたからそれでもいいと思った。


そんな地味でダサ男な俺にもあの頃と変わらない笑顔で俺に接してくれる玲美をますます好きになった。


それに比べて同期で入社した山梨は、俺をみるなり『ダッサ』と聞こえるか聞こえないかのような声で言ったのを覚えている。


表上はブリッコで愛想を振りまく性格ブス。
俺に声をかけてきていた女達と変わらない。
俺はあんな奴が一番嫌いだから嫌われて嬉しかったけど。


だがそんな山梨がアシスタントをするのは営業の山岡主任。


二人が楽しそうに話しているのを隣の席に座る玲美は悲しそうな目で見つめていた。


俺の勘だけど二人は不倫をしているんだと思った。


それに山岡主任の悪事を聞いた俺は、何も知らないであろう玲美をどうにかアイツと別れさせられないものかと考えていた。


そして俺にチャンスが訪れた。


玲美とアイツがキスをしている現場を目撃したからだ。


多分玲美はアイツ以外は誰も見ていなくて、おそらくアイツに依存していると思う。


苦しみながらも離れられないのはそうでしかないだろう。


なら俺に依存をするくらい好きにさせれば、アイツの悪事も知ることなく、これ以上は苦しむ事もなく別れられるんじゃないかと思った。


アイツか営業に向かうのを確認した俺は、玲美に話しかけ、話があると会議室に連れて行った。




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