地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
「あれから会社では彼とはどうなの?」
「普通にもどったよ。それにアイツに……」
「アイツって?」
「あのねーーー」
私は笹山くんとの事を凪に話した。
凪はその話しをすると、目を輝かせて聞いていた。
「何それ!!もうさ、その笹山くんって彼と付き合っちゃえば?不倫したって山岡さんとは結婚だって出来ないんだし、笹山くんなら先の未来だってあるじゃない?」
「そんな簡単に言わないでよ。私は今でも山岡主任を愛してる……それに笹山くんは普段は地味男を演じてるけど、裏の顔はイケメンで性格が悪い悪魔みたいな男だし、好きになんかならないもん。それに比べて山岡主任は大人で優しいし」
すると凪はため息をついて、何か覚悟を決めたような顔で私を見た。
「もうこの際言うけど、山岡さんはさ、優しいとか玲美は言ってるけど本当に優しいなら不倫なんてしないんじゃない?それに奥さんが居て不倫するなんて最低でしょ?玲美は山岡さんが初めての相手だから離れられないだけで、その優しさが玲美を縛り付けてるだけでしょ?どんなに玲美が愛していても、山岡さんが愛しているのは奥さんと子供だけだよ……本当に玲美を愛してるなら二人目なんて作らずに、離婚話だってする筈でしょ?笹山くんが悪魔みたいだって言ってるけどさ、私には山岡さんのがよっぽど悪魔に見える。家では良い旦那と父親を演じて、裏では玲美と不倫してるし最低だよ……」
凪に言われた言葉が胸を突き刺す。
本当に愛してたら……か。
でも山岡主任が私に『愛してる』と言った言葉も、優しさも、嘘だと思いたくないし信じたい。
この三年は悲しくても苦しくても、自分なりに乗り越えてきた。
諦める事だって多かったけど、好きな気持は止められない。
凪の言いたいことはわかるけど、まだ私は山岡主任とは離れられない。
そう思うと涙が溢れてきた。
「玲美……ごめん言い過ぎた」
「凪が言ってる事は間違いじゃないから謝らないで。家庭ある人を好きになってしまった私が悪いの。だけど今はまだ山岡主任と離れることが出来ない」
「玲美……」
「ごめんね、もう泣くのはやめて飲もう!」
凪はもうその事については何も言わなかった。
私達は沢山飲んで、昔の思い出話をして、気がつけばそのまま眠っていた。