地味男の豹変〜隠された甘いマスク〜
話を聞き終えた凪は腕を組んで何やら難しそうな顔をしていた。
「うーん……私は何かの間違いじゃないかと思うけどな。この前に陽くんの話を聞いたけど、玲美に対する気持は嘘じゃないと思う。もしかしたらその女性は従姉かお姉ちゃんって事もあるんじゃない?そうじゃなきゃ山岡さんの事をあんなに悪く思わないと思うし、そんな人じゃないと思うけどな」
「俺もそう思う。凪は人を見る目があるし、ちゃんとその彼に話してみたら?」
凪と貴之の言葉を聞いて考えたけど、私にはあの時、本当の家族のように見えた。
「それにさ、涙を流してるって事は陽くんの事が好きなんてしょ?」
「好き?」
「好きじゃなかったらイライラしたとしても涙なんて流さないでしょ?付き合ってるわけでもないんだし。陽くんが女性と居て、更には子供まで居て玲美はどんな気持ちになった?」
「私は……」
そう言いかけて考えた。
凄く胸が苦しくて、嫌だって思った。
これって……
「私っ……陽の事が」
「答えが出たみたいだね?話してみたら誤解かもしれないし、もしそれが本当なら私が陽くんを一発殴ってやるから!どうせ玲美、何も食べてないでしょ?貴之の奢りで何か美味しいものを食べに行こう」
「仕方ないから美味しいもん食べさせてやるか。だから玲美も元気だせよ?」
「うん」
家を出て、貴之の車に乗り、三人でご飯を食べに行く事になった。