ブラッド
第1章
    1
 街の表通りは蒸し暑い。


 酷暑だ。


 人が大勢いて、辺りは混雑している。


 ここは地方都市だが、街は絶えず回っている。


「……くそ暑いな」


 一言呟いた俺は歩きながら、スマホを見ていた。


 さっきから、ネットニュースを読んでいる。


 絶えずアップデートされ、情報は途切れない。


 ふっと目を正面にやると、駅の前辺りで「キャー」という叫び声が聞こえた。


 何だろう?


 そう思い、駆け足で行くと、ほんの二メートル前ぐらいに、後頭部を殴打された人間が一人倒れている。


 すぐにスーツの内ポケットから取り出した警察手帳を提示し、
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