ブラッド
「警察の者です」


 と言って、現場を見た。


 辺りは血で溢れ返っていて、おそらくこの状態じゃ、被害者は死んでいるだろう。


 そう思って、すぐに監察医務院の車両を手配する。


 野次馬が集まり始めた。


 不意に背後から呼ぶ声がする。


「おう、佐山。……お前ここ担当か?」


「ええ。……伊里町(いりまち)さんこそ、どうしたんですか?」


「ああ。仕事終わって、すぐそこのバーで飲んでた」


 伊里町警部補は、ここG県警捜査一課3係のデカで、俺の警察の先輩だ。


「佐山、監察医の先生たちが来たら、遺体運んでもらえ。それから県警本部と所轄で合同して捜査だ」


「分かりました」
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