ブラッド
第3章
     3
 その週の日曜も俺たち警察による捜査が続いた。


 心身ともに疲労気味だ。


 だが、伊里町と組み、現場近辺を探る。


 現時点では篠原陽三が金子雅夫を殺害した可能性が極めて高い。


 その日も街は梅雨の雨空で、ジメジメと蒸し暑かった。


 伊里町が、


「佐山、まだ殺しの物証はほとんど出てない。だけど、県警のマル暴が乗り出してくると、俺たち一課は脇で見る羽目になる。仕方ないんだがな」


 と言って、重たげに息を吐き出す。


「伊里町さん、弱気ですね」


「うん。だってな、マル暴担当のヤマは怖いぞ。従流会の人間と接触すれば、何されるか分かんないからな」


「ですが、ここは向き合うしかないですよね?」
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