ブラッド
第25章
     25
 しぶとく現場を歩くのだが、金子雅夫や工藤隆明を葬った犯人への手掛かりは得られない。


 じれったい。


 時間だけが流れる。


 毎日、捜査本部を出て、現場を回るという行動が続く。


 単調だ。


 その週の木曜になり、自宅マンションで朝起き出して、コーヒーを一杯淹れる。


 飲みながら、意識が覚醒するのを感じた。


 そしてスーツに着替え、カバンを持って、署へと歩き出す。


 いろいろあって人間だ。


 冴えない時も、冴え渡る時も。


 朝方、事務作業をし、伊里町と捜査に出る。


 組んでいて、互いに違和感はない。
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