ブラッド
 助手席に座り、街を見る。


 人も車も流れていた。


 絶えずずっと。


 疲れていたのだが、スマホのGPSやタクシーの前方にある無線機を見ながら、探り続ける。


 別に俺だって優等生刑事じゃない。


 やり残したことも散々あった。


 過去のヤマでも、ホシとギリギリまで接触しながら、捕まえられなかった経験がある。


 だが、終わったことはどうしようもない。


 割り切っていた。


 その日も昼食をコンビニ弁当で済ませ、食後に缶コーヒーを飲む。


 伊里町も同じものを食べ、しばらくの間、車内で休憩した。


 過去はどうしようもない。

 
< 136 / 349 >

この作品をシェア

pagetop