ブラッド
第31章
     31
 連日、死力を尽くして捜査したが、肝心のホシは見つからない。


 篠原も羽野も下古毛も逃げている。


 殺人犯どもは一体どこに行きやがった?
 

 独り心の中で憤慨している。


 伊里町が俺の心の内を察したのか、


「佐山、気にするな。いずれG県警が総力を挙げて、篠原たちを捕まえる」


 と言い、タクシーのハンドルを切った。


 正直なところ、複雑な心境にある。


 捜査本部に帰り着き、報告書などを付けてから、帰宅していた。


 そしてその週も日曜になる。


 疲れていて、本来なら遅くまで眠っていたかった。


 だが、通常出勤なので、午前7時前には起き出して、支度する。

 
< 164 / 349 >

この作品をシェア

pagetop