ブラッド
 と言う。


 車から降りて、田園地帯の歩道から空に銃を向け、引き金を一回引く。


 ズドーン。


 轟音がして、弾が発射された。


「訓練してるな」


「ええ。一応は」


 軽く頷き、またタクシーへ戻る。


「何かあった場合、お前が撃つんだ。俺、射撃苦手だから」


「はい。分かりました」


 伊里町も覚悟してるらしい。
 

 ホシを銃殺するという最悪の選択肢を。


 空は雲一つない晴天だった。


 山岡や飯尾は俺たちの行動に戸惑っていたが、やがて事を了解したようで、また車両を

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