ブラッド
「……アイツらも命絶ったか」


 拡声器を持っていた刑事がそう呟き、突入するはずだったSATは一斉に引き下がった。


 そして爆発現場から焼死体が二体見つかる。


 まさに従流会が破滅した瞬間でもあった。


 俺たち警官は燃え盛る火の中、篠原たちが最後まで所持していた銃や薬物類などの燃え残りを押収する。


 伊里町がゆっくりと歩きながら、


「暴対にヤマ持っていかれたな」


 と言う。


「ええ。……おまけに被疑者死亡だと、不起訴ですしね」


「ああ。……後は段野隼人を使って、三宅元警部補を殺害させた下古毛充だけだな」


 伊里町が軽く笑い、フォルスターに差していた銃を手に取って、弾丸の冷たさを確かめる。


 俺も倣って銃を持ち、ゆっくりと相方運転の車へ行く。
 
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