ブラッド
第61章
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 二日後の朝、G県警内に緊急入電があった。


 篠原陽三が羽野和夫と共に、G市内のアジトに立てこもっていると。


 暴対の捜査員が内偵捜査を続けていて、ようやく見つけたらしい。


 俺も伊里町と共に、現場に急行した。


 アジトは街の繁華街の一角にあり、目立っている。


 すでに警察が周辺を厳重に包囲し、投降を呼びかけていた。


「篠原陽三、羽野和夫、大人しく銃器類を捨てて、出てきなさい!」


 県警のデカが、拡声器で声を響かせる。


 急なことだから、俺たちも驚いていた。


 ヤツらの罪状には金子雅夫・工藤隆明の二名殺害に加え、死体遺棄罪も加わっている。


 約三時間後の午前11時過ぎに、突如アジト内から煙が出てきた。


 瞬間、爆発音が鳴り響き、目の前の建物が燃え始める。

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