ブラッド
 永遠にさよならかもしれません。


 そう心中で呟き、息も絶え絶えになった。


 それにしても、下古毛が射殺されたことで、警視庁元組対部長の楠村大三に関するマネーロンダリング疑惑は曖昧となる。


 疑惑の真相を知る輩がデカたちによって、撃たれたからだ。


 人の血が大量に流れたことで、一連の事件は血なまぐさくなった。


 必然だったのかもしれない。


 俺が命を落とすことまで、計算され尽くしていて。


 おそらく段野は、俺たち警察を恨んでいただろう。


 下古毛に教唆されて、三宅元警部補を撃った罪で、一定期間拘留されたのだから……。


 そっと傷口に手を当ててみる。


 赤黒い血が手に付いた。


 べっとりと。

 
< 348 / 349 >

この作品をシェア

pagetop