ブラッド
第15章
     15
「下古毛の野郎が、段野の三宅警部補殺しを教唆したんだな?」


「ええ。……下古毛は組対の警官です。改造銃を入手することは容易いかと」


「全く、警官殺しって嫌だな。それに幇助したのが現役警官だったとはね」


「G県警が段野の別件逮捕のために撒き餌をばら撒いたんです。……伊里町さん、金子雅夫・工藤隆明連続殺人事件と、二年前の三宅警部補射殺事件は繋がってますよね?」


「ああ、関連がある。……二つの事件は表裏一体だ。G県警内の警察官と、従流会が密接に絡んでるな」


 伊里町がそう言い、軽く息をついて、タクシーのハンドルを握りしめる。


 助手席に座り、じっと前を見据えていた。


 酷暑は続く。


 捜査本部に戻っても、また他の部署の警察官と遭遇し、気疲れしてしまう。


 だが、勘のようなものはあった。


 事件を見通す第六感だ。



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