☆お見舞いに来てください☆

「仁科(にしな)さん、このサンダルの在庫こっちに全部並べちゃって」

「はい!」


もうすぐ夏本番。

今日から半期に一度のグランドセール。

某有名ショップで働く璃子は朝からセールの開店準備でてんやわんやだった。

ここは巨大ショッピングモールの中で、他の店舗の人達も璃子と同じように朝から世話しなく動いている。


「すみません、ちょっとトイレに行ってきます!」


開店まであと10分。

今のうちにトイレに行っておかなきゃ。

璃子は焦る気持ちを前に、小走りでお目当ての場所へと駆けて行く。
そこへ、いつもの爽やかな声が飛んできた。


「おはようございます仁科さん、店内は走ったら危ないですよ」

「あ、水嶋さんおはようございます」


その声は水嶋さん。

璃子はトトトッと走るスピードを緩め、声のした方に向き直る。


「今日は朝から皆さんせわしないですね」

「そりゃあ、半期に一度のバーゲンですもん。気合い入れなきゃやってられないですよ」

「そうですか。でも、あまり張り切りすぎて転ばないように気を付けてくださいね」

「あはは…」
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