私はくるくる落下中。
そら
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side:K.K
青空の下で、僕は何をしているのだろう。
真っ白な雲と、真っ青な空とのコントラストを見上げていた。
まっさらな気持ちで、ぼんやりと。
だが、そんな眺めは、降りかかってきた拳で強制的に遮断された。
ガツンッと鈍い音が聞こえ、僕は痛みに倒れ込む。
頬がジンジンする…口の中は鉄の味…切れたのか。
「しかとしてんじゃねーぞ、ゴミ」
クラスメートのいじめっ子・Aが拳を震わせ、こちらを見下ろしている。
他二人ももれなくAの後ろでニヤニヤしていた。
今は授業も終った放課後。
眼下ではサッカー部や野球部などの運動部が汗を流して、練習している。
元気な掛け声が聞こえてくる。
授業が終わったと同時に奴らに捕まり、屋上へと連行されたのだった。
屋上のフェンスへ追いやられ、理不尽な暴力を受けてしまっていた。
「それにしても、趣味悪いな、この絆創膏~」
僕の顔に貼られたキャラクターの絆創膏を見て、Bが笑う。
「いいじゃん、可愛くて。だせぇ霧島くんにお似合いじゃん?」
「ギャハハ、いえてる!」
この絆創膏は沖名がくれたものだ。
僕のために、くれたものなのだ。
水道場で、綺麗な彼女が僕にくれた。
もらった日にはもったいなくて付けれず、今日の朝、やっと決心がついて貼ったのだ。
それくらい思い入れのある大切な絆創膏をけなされては困る。
「う、うるさいんだよ…!」
長い前髪で顔を隠しながら、初めて彼らに反論した。
とたんに、三人の顔色が変わる。
「あ?」
「あーだこーだ言って…っ、お前らに関係ないだろ…!!」
彼女との繋がりを侮辱されたことが許せなかった。
「ふうん…?そんなこと言っちゃうんだ?霧島くん」
Aの目つきが獰猛に変わり、僕はしまったと思った。
だが、既に時遅し―――。
ガンッと視界が大きく揺れ、次に頬の痛み、その次には全身を床にしたたかに打ち付けていた。
「…うぐっ」
Aが思いっきり僕を殴った後だった。
「うわ、だせー」
軽蔑にも似たCの声が僕へ降ってきた。
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