最初で最後の恋。




「聞こえなかった?」


浅井君は私にもう一度ぐっと顔を近づけると本当に目と鼻の先の距離で浅井君が再びゆっくりと口を開く。

「あ、浅井君!!わ、わわわ私なんかをからかってもなにも出ませんよっ!!!」

腕をふるふると振りながらアワアワしながら後退りしていると急にどさりと重みがかかり、横を見ると浅井君の横顔が会った

「浅井君!?」

私が大きな声で驚くと隣からか細い声が聞こえた
「ごめ、とり…えず、日陰、」

所々聞こえなかったがとりあえず日陰へズルズルと引きづり連れてゆく、やっぱり大の男の子を持ち上げるなんて力量は備わって居ないようだ。
ちょっと後悔している、 筋トレしておけば良かったかも
そうこう悩んでいるうちに浅井君が青白い顔で目を開いた。


「大丈夫?!」

「うん、ごめんね…幼い頃から少し体が弱くて、日をあまり浴びるなって言われてたんだけどね…」

ハハハと笑う浅井君に少し驚いた、日を浴びられないだなんて
可哀想
真っ先に思った其の言葉がなんだか嘘のように消えて行った

浅井君が綺麗に笑っていたから

「夕空さんは太陽が似合うよね、馬鹿みたいに明るくて」

馬鹿って一言に顔が引きつったけれど太陽が似合うだなんて言われたことがないから少し嬉しい

「ありがとう、嬉しい。でもね、馬鹿は…余計だよね、」

「あっ、ごめん。つい、」

それから日陰で二人でいろいろな話をした、 なんだか浅井君には何でも話せて時間を忘れていつの間にかもう夕暮れになっていた。
そして私はある約束を浅井君と交わした
他愛もない会話の中のたった一つの約束、
それは人生の起点になるかもしれない約束だった
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