最初で最後の恋。

大好きなのは…


暫く寝ていた、髪がボサボサになるくらい。
夢の中でユキにキスされた唇が何だか妙に熱くて現実感がある、ぽーっと紅くなる顔に好きなんじゃないかと錯覚するけど違う

やっと分かったから、ようやく分かったから
緩いだりしない
私は

悟にいが好き。
そう考えるとぽーっと色付く頬に熱があると心の中で誤魔化す、勿論悟にいと付き合えるなんて思ったりしない
だって悟にいは雲の上の存在で、安易に告白したりしたらもう二度と悟にいに笑いかけて貰えなくなっちゃう。
でもこの想いは止められないから

頑張って好きになってしまうしかない!
っていう結論に至ってしまった。
バタンと急に保健室の先生がドアを開いて入ってきた。
不毛はことを考えていた負い目でどんどん紅くなる顔に先生は
「風邪だな、移さないようにっつっても無理そうだね。待っていなさい」
と先生は私を独り残しずんずんと歩いていく。
私はただその背中をぼーっと眺めることしかできなかった、何故なら風邪を引いてるのか恋煩いなのか否かわからないけど頭が働かないから。
ぼーっ
ぼーっ
ってあれ?独りで帰れない場合は保護者を呼ぶんじゃなかったっけ

そう思ってばさっと急に起き上がった所で私の意識は途絶えた
「カエデ」
悟にいの声がしてふわふわと雲の上のような感覚で顔を擦り付けると悟にいの匂いがふあってぶあって身体中に広がって、ああ本当に

「好き」

だなあ、って思えた。

私が大好きなのは「悟にい」なんだって分かった。
その言葉が伝わって悟にいの顔が真っ赤になっているなんてこの頃の私は知りもしなかった。
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