最初で最後の恋。

スキ、すき、好き。

SIDE.SATORU..



好き


それはきっと凄くあやふやなものだと思う
女は口付けれァ大体は落ちんだ。

これはカエデが中学生の頃
俺が生まれて初めて好きだと自覚した時の話。

八歳の時に隣の家で生まれたのがカエデ
すくすくと育っていくカエデが堪らなく可愛くて妹のように可愛がっていた。
高校に入るとどれもどれも可愛く見えなくて、付き合う子付き合う子直ぐに別れた。
可愛すぎるカエデが家に帰ると良く来ていて家に居るからだ。
そんなカエデが小学生の頃、俺はスカウトされ十五で芸能界に入った
当時人気のあった雑誌から家が割れ余地なく引っ越すことが決まった。

「悟にぃ…いってしまうのぅ?」

泣き震えながら俺の足を抱きしめるカエデはちっさくて可愛くて、思わずつられ泣きしそうになったけど恥ずかしいからぎゅうっときつく抱きしめた
カエデは俺の頬にちゅっと小さく口付けると
「カエデ、悟にいとけっこんするー!だからいかないでぇー」
とまた泣き出した
俺は子供にきゅんっと来てしまって親には内緒であるものを渡した
それは子供染みていたけれどれっきとした俺の意思だったと思う。
子供でも口づけはあんなにも心を動かすものなのかと驚く、だけどそれ以上に
いつかまた、その想いを抱き俺はその街を離れた。


俺がある撮影で昔住んでいた近くに行くことになって久しぶりにカエデに会いたくなって昔住んでいた場所へ変装して行ったことがあった
カエデはもう中学生になっているはずだと確信して、だけどやっぱりいろんな所へ行ったが会えない
まあ、あまり期待はしていなかった。
女かよ、俺はなんて心の中でツッコミを決め込み現場に戻ろうと振り返ると向こうから楽しそうに話す中学生二人が着ていた。
女と、男…カップルか、と肩を下ろし二人の横を通り過ぎると
女は急に足を止めた。
その顔は何処かカエデに似ていたけれどそれとなく大人びている兎に角下手な女優真っ青の美人だった
その美人の腕に掛かっていたブレスレットを見て目を剥いた俺は少し笑って現場に戻った。

「悟にい…?そんなわけないか」

奇跡か否かもう一度逢えた彼女を俺はもう絶対離さない
何故なら、
キラリと輝くあの小さな花のブレス
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