あなたにspark joy
何故にっ?!

なんでまた、篠宮慶太……。

「立てる?……立てないか」

私は咄嗟にブンブンと首を振った。

途端に激しい目眩が襲う。

「……大丈夫。立てる。ひとりで立てるし大丈夫。ひとりで帰る。シーラカンスとこ帰る」

「……何がシーラカンスだよ。よっと!」

急に身体がフワリと浮いて、多分だけど……その瞬間に篠宮慶太の香りがした。

「な、うわっ、きゃあっ!」

「俺の首に腕回して掴まってて」

大通りからいく本も中に入った通路とはいえ、ロータリーに続く道路に面しているこの通りは人通りが激しい。

「やだ、離して。こんなところでお姫様抱っこなんて、恥ずかしい」

「道端で倒れてる方がどうかと思うけど」

それは……そうかも知れないけど……。

「家、どこ?」

「家?!」

……待って。

家なんて教えたくない。

この期に及んで家を教えたくないとかなんか変かも知れないけど、家は教えたくない。
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