雨上がりの恋






「私達、もう終わりにしましょう。」





これでいいんだ。


これで。


もうそろそろ解放してあげなきゃ。


バックから細いメンソールを取り出すと一本口に加えさっきコンビニで煙草と一緒に買った100円のライターで火をつける。


3回目でやっと火がついた。


やはり100円だ。100円分の仕事しかしていない。


深く吸い込み細く長く煙を吐き出す。


吐いた煙が窓ガラスに当たってはゆるりと消えてゆく。


窓の外では今にも雨が降りそうだった。






「煙草、止めたんじゃ…」


彼の声に思考を一旦停止する。


「えっ、ああ…そうね。止めてた、さっきまでは。」


久しぶりに吸う煙草に少しクラクラする。


私は今、ちゃんといい女を出来ているだろうか?


仕立ての良いスーツに身を包み、髪も綺麗にまとめ上げ、もちろん、ここに来る前に化粧も直した。


今の私には隙がない。


はずだ。


そう、隙があっては困るのだ。


隙のない、大人の女でなければ綺麗に終われないじゃない。





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