また、部屋に誰かがいた
ちゃんと運賃を払ってもらい、乗客を降ろしてから栗原はその運転席で

「いくら昨夜のテレビに似ていたからってばかばかしい。いい年して俺はバカか?」

安心して、気が抜けた彼は、滑稽だった自らを笑った。
それから彼は、よく行く定食屋で夕飯を食べ、自宅に戻ったのは1時になる少し前になった。

「あー眠い。今日はぐっすり眠れそうだ」

タクシーを車庫に入れて車を降りようとした彼の耳にスマホの着信音が聞こえる。
聞き慣れない音から、それが自分のスマホからではないことがわかる。

タクシーの車内を見てみると、後部席に置かれたスマホからだった。

「さっきのお客が忘れて行ったんだな。それに気づいた男が自分のスマホの番号にかけてきたのでは…」

そう思った彼は、そのスマホを手に取って電話に出た。

「もしもし…」

しかし、彼が電話に出た途端にそれは切れてしまった。着信は非通知。
「きっとまた、かかってくるだろう」

そう考えた彼は疲れて眠かったこともあり、家の中に入るとそのまま寝室に向かい寝てしまった。


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