また、部屋に誰かがいた
「え!私、この人の絵大好きなんだ」
「そうなの!俺も好きなんだけど良かった!趣味が合ってて」

玲奈は不思議だった。初めてカケルを見たときの惹かれる感覚と懐かしいような感情と、そして彼女の好みにカケルは全てパーフェクトだった。

個展の会場は新宿にあるデパートの催事階にあった。
青を基調とした作品を見ながら、カケルはキラキラした目で絵を見つめる玲奈の横顔を見ていた。
幼い日から「守る」と決めていた彼女を。

一方、玲奈は一時の幸せに浸っていた。
そして
「どうしちゃったんだろ?まるで、死ぬ前か何かで特別なご褒美を神様がくれているみたい」
そんなことを玲奈は考えていた。

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