初恋のお兄さんと私
「お母さん、私ちょっと出掛けてくる。夕食までには帰るから」
言ってドアを開けた。
何の用か、表に出た奴と鉢合わせた。
もとより口も聞きたくなかった私はふいっと顔をそらす。
「ずいぶんめかし込んでんじゃねえか。デートか??」
あんなことをした後の言葉がこれか、と呆れた。
「そうです。いけませんか」
「…その、さっきは、悪かった…な」
うつ向き加減にそれだけ言うが、聞こえない振りをして通り過ぎようとした。
けれど、腕を掴まれてしまった。
「ホントに、デートなのか」
「だったら何!?あんたに関係ないでしょう!?」
奴の腕を振りほどくと、早足で階段を降りた。もう二度と口も聞かないあんな奴!!