初恋のお兄さんと私

夕方、


七海くんに送ってもらって、家に帰るとやっぱり先に帰った顕奘さんが、うちのドアの前で待っていた。


「…どういうつもりだ」


「…お家に入らせてください」


微かに震える声で応える私。
怒っているのがわかる。怖かった。少し調子に乗り過ぎた。


「七海先生はどうしました??」


平然と、むしろふて腐れて七海くんが話し掛ける。ことごとく邪魔をされると言わんばかりに。


「どういうつもりだって聞いてんだろうが!!」


「……阿久津先生には、関係ありません…」


震える声で、それだけ言うのがやっとだった。


「……てめえまさか、本気でそいつに惚れたんじゃねえだろうな??…俺ってもんがありながら」


ドキッとした。
顕奘さんが本気で焼きもちを妬いてる??


「彼女は僕の…」


「お前は黙ってろ!!」


怒鳴られて七海くんと二人、ビクッとする。


と、腕を壁際に引っ張られ、壁ドンで顔が至近距離になった。


「……なあ、…どうなんだ」


キスできるほどの距離で、目の前の表情が、凄く苛立ちと切なさを我慢している。


ドキドキする。こんな距離で問い詰められたら。


「…どうなんだよ……言えねえのか…??」


顕奘さんを、クビには出来ない。私なんかのために迷惑を掛けられない。そのことしか考えられなかった。


「………ごめんなさい」


俯いたまま。



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