初恋のお兄さんと私

「………っ!!ちゃんと目ぇ見て言え!!」


できるわけがない。そんなこと。目を見て嘘なんかつけるほど器用じゃない。


「……ごめんなさい!!ホントにごめんなさい」


それしか言葉が出ない。


「……それが、お前の答えか」


顕奘さんも声が震える。
歯を食い縛る感じが伝わる。


「………もう、勝手にしろ…」


力なくよろめきながら、自分の部屋のドアを開けると、そのまま入っていった顕奘さん。


「どうしたの!?顕奘!?顔色が…」


蓉子さんのその声は、私たちの耳には届いていなかった。


「………七海くんも、…送ってくれてありがとう。もう帰っていいよ」


――……ああ、終わっちゃったな。私の片想い、初恋。

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