ノラネコだって、夢くらいみる
「なにより、鈴の人生変えた男だもんな」

 ………うん。

「染まらない鈴を、色付けた」

 ………よくわかってる。さすが大地。

「かなわねーよ。あんなカッコイイやつ」

 大地も、カッコイイよ。

「届きそう?想い」

「多分……」

「マジか。やるじゃん」

「………」

「鈴?」

「鍵をもらったんだけど」

「は?」

「家のね、鍵をもらったの。いらないって言ったけど、返しそびれてる」

「………それ、一緒に住もうってことじゃねーの?」

「え?」

「いや、それは飛躍しすぎか。けど、つまりは、いつでも来いってことだろ」

「は……?」

「鈴、鈍すぎ。好きじゃないやつに、ってか好きなやつにも、相当距離縮まってないとそんなことできねーだろ、普通」

「えぇ!?」

「まぁ、そんなとこが可愛いんだけどさ」

「………っ」
< 196 / 212 >

この作品をシェア

pagetop