ノラネコだって、夢くらいみる
 この男が私に惚れることなどないだろうが、仮にそんな展開になったものなら、ロリコン変態野郎、と蔑(さげす)んだ目で見てやる。

「俺の会社に関心ある?」

「ない」

「なら、俺とデートしたかった?」

「……っ、バカじゃないの?」

「お前、相当な寂しがり屋なんだな」

 !?

「俺にのこのこ着いてきたのがその証明だろ」

「……寂しくなんてない。ちょっと気が向いただけよ」

「隠さなくていい。あんなにかまって欲しそうに歩いていたの見てるんだ」

「か、かまってなんて思ってないから!」

___乱される。

 私のペースが、この男には、とことん乱されてしまう。
 
「お前は嘘をつくのは得意ではないらしい。だが、頭の回転は、それほど悪くはない。バカでもない。少し歪んだ自己顕示欲を持っているが……躾(しつけ)次第でどうにでもなる範囲だな」

 何言ってるの?

「1つネタばらしすると、先週までお前に声をかけてきた連中は、俺の部下だ」

 !?

「もちろん全員ではないが」

「何言ってるの?セールスマン風の人たちのこと言ってるの…?」

「ああ」

 あの人たちが、逢阪の差し金だったってこと?
< 23 / 212 >

この作品をシェア

pagetop