ノラネコだって、夢くらいみる
___ドクン
まただ。心臓が、大きく揺れた。
不意に名前を呼ぶな。
「うち、お金ないよ」
「それがどうした」
「あんたの会社の養成コースとかに入るのは無理だよ」
「問題ない」
なにが問題ないの?
「部下から、〝面白い子が現れた〟と報告があった。なので俺は、自分の目で確かめに行ったんだ。あの日、あの場所に」
「一週間前、原宿に……?」
「ああ。報告書に細かに目を通すまでもない。すぐにお前のことだとわかったよ」
その報告書とやらに、一体何が書いてあったか、とても気になるのだけれど。
まさか目つきの悪い生意気なチビ、とは書いてないでしょうね?
「話を進めると、さっき言った通り、俺はお前とビジネスの付き合いがしたい」
「私にモデルや女優みたいなことさせるつもり?」
「みたいなこと、でなく。そのモデルや女優をしてもらう」
「ありえない」
「どうせ暇なんだろ?」
失礼な。
……………暇だけど。
「なら働け」
まだ、何も言っていないでしょうが。
学生の本分は勉強だっていうのに。中学は義務教育なのに。
そりゃ、私だって……
働けるものなら、今すぐにでも働きたい。高校には行かず、中学を卒業してすぐ働きたいのが本音。
「………儲かるの?」
「お前次第」
「私には向いてないよ」
「俺は、そうは思わない」
「その根拠は?」
「俺がそう思うから」
「それじゃ、説得力に欠けるんじゃない?」
「これ以上の理由なんて、必要ないさ」
「どっからそんな自信が湧いてくるのよ」
「お前はなさすぎるんだよ」
「………え?」
「お前に圧倒的に足りないのが、自信だ」
まただ。心臓が、大きく揺れた。
不意に名前を呼ぶな。
「うち、お金ないよ」
「それがどうした」
「あんたの会社の養成コースとかに入るのは無理だよ」
「問題ない」
なにが問題ないの?
「部下から、〝面白い子が現れた〟と報告があった。なので俺は、自分の目で確かめに行ったんだ。あの日、あの場所に」
「一週間前、原宿に……?」
「ああ。報告書に細かに目を通すまでもない。すぐにお前のことだとわかったよ」
その報告書とやらに、一体何が書いてあったか、とても気になるのだけれど。
まさか目つきの悪い生意気なチビ、とは書いてないでしょうね?
「話を進めると、さっき言った通り、俺はお前とビジネスの付き合いがしたい」
「私にモデルや女優みたいなことさせるつもり?」
「みたいなこと、でなく。そのモデルや女優をしてもらう」
「ありえない」
「どうせ暇なんだろ?」
失礼な。
……………暇だけど。
「なら働け」
まだ、何も言っていないでしょうが。
学生の本分は勉強だっていうのに。中学は義務教育なのに。
そりゃ、私だって……
働けるものなら、今すぐにでも働きたい。高校には行かず、中学を卒業してすぐ働きたいのが本音。
「………儲かるの?」
「お前次第」
「私には向いてないよ」
「俺は、そうは思わない」
「その根拠は?」
「俺がそう思うから」
「それじゃ、説得力に欠けるんじゃない?」
「これ以上の理由なんて、必要ないさ」
「どっからそんな自信が湧いてくるのよ」
「お前はなさすぎるんだよ」
「………え?」
「お前に圧倒的に足りないのが、自信だ」