ノラネコだって、夢くらいみる
 なぜなら___

「いちる、いつか絶対表紙くると思ってた!」

「ってことは、この号にいちるのこと、特集されてたりするのかな?」

「ってか……いちるの隣の」

「この女の子」

 小田木さんと和泉さんが、顔を見合わせる。

「………誰?」

 いちると一緒にもう1人、表紙にうつっている子がいた。

 ……………私だ。

「鈴ちゃんに似てるよね」

 も、モモっ……・!?

「は?」

「黒川さんに?」

 小田木さんと和泉さんが、眉間にしわを寄せてこっちを見る。

「あはは、冗談きついよ百瀬さん!」

「全然違うじゃん」

 笑われてしまった。…………だけど、それ、私です。

 私なんです。

 1ヶ月くらい前に撮影したあの写真が、CUTEEN!の表紙になるなんて、聞いていない。

 こんな目立つところに使われるものだったの?

 化粧やウィッグ、それに修正もされてるからだろうか。パッと見、自分でも自分だとわからないくらい……別人。

 真っ白な衣装を着た、いちると私。羽根がちりばめられていて、上に『CUTEEN!』の文字。

「ごめん、ちょっと、私、トイレ…いたたたた」

「鈴ちゃん大丈夫?」

 逃げるようにその場から去る。人通りの少ない階段の踊り場までくると、スマホを取り出す。


【黒川鈴】キューティーン見た?


 そう、いちるにラインしてみる。


【いちる】おはよう、鈴


 すぐに返事がきた。


【黒川鈴】見て!!キューティーン

【いちる】発売日今日だっけ。宣伝しとかなきゃ
【いちる】僕と鈴のやつだよね

【黒川鈴】知ってたの?表紙のこと

【いちる】うん
【いちる】多分、今、うちの会社すごいことになってる

 ………?
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