静寂と毒牙

 「…自己紹介がまだだったね。ワタシは高等部三年の蘇陽 扇(そよう おうぎ)ここの皆からはソヨギと呼ばれている。アナタにぶつかったのは的井 七緒(まとい ななお)高等部一年だよ」

 たぶん謝ってないだろうからとつけたし、ソヨギは困った様にほほ笑んだ。

 「私は宇納 輝(うのう てる)だよぉ。テルって呼んでね。ソヨギと同じ三年生だよ。よろしくねぇ」

 ゆっくりとしたテンポで話すテルに少女は小さくうなずいた。

 「僕は早谷里 景(はやり けい)高等部二年だよ。ハリって呼ばれてるんだ」

 「メジロは目代 己斐(めじろ こい)ハリにゃんと同じ二ねんせーでメジロってよばれてりゅにょん」

 独特の話方をするツインテールのメジロにも会釈をし、少女は俯いた。

 「この子、名前はすがやみとりっていうんですって」

 興味薄なマトイの声に益々深く彼女は俯いた。

< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

囁きと蜜
水陰/著

総文字数/1,534

恋愛(純愛)4ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 失う前から、その存在の儚さに気づく恋なんて、したくなかった。
わたがし
水陰/著

総文字数/1,613

ファンタジー6ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 虚勢を張ることでしか、自分を保てない全ての私に。  大丈夫と甘く溶かして、固まった心を抱きとめて。  そんな都合の良い夢を見ては目が覚めて、悪夢のような現実を生きる。  そんな日々をあなたは知っていますか。
黒の双剣、白き犬
水陰/著

総文字数/591

ファンタジー2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 その昔、一人の男が怒りに我を忘れ、剣をとった。  村が鮮血に染まった理由は、男の腕ではなく飢饉に体が弱りきった者が多かった為であるが。  刃から肘へ滴る鮮血に、男はその刀身を眺め、浸ってしまった。  肉を断つ、その快感に。  仇の隣家へ、長い刃を地に引きずり、赤い血を顔につけ。  二件、三件、悲鳴が男を高揚させた。  逃げ惑う女の足を、命乞いする老人の腕を。  血しぶき舞うそこは、まさに地獄か。  橋を越え、隣村へ、山を越えさらに遠くへ。  いつしか男は狂った鬼、狂鬼(くるいおに)と呼ばれた。  悦が飽きへと変わる頃、なまくらとなりかけた刀身を、踏み付け、二つに裂いた。  刀を磨くという知識がない為であった。  奇しくもその行為が、すでに邪剣となったその刀の覚醒への引き金になってしまった。  二つになった刀は意思を持ち、いつしか男は刀の意思のまま人を切る真の鬼になってしまった。  邪剣が妖刀となるほど、人の血を吸った頃、男の生が終わりを迎えかけていた。  ほとんど不眠不休で人を狩る鬼となったが、その器はまだ、かろうじて人の姿をしていたた為であった。  だが、妖刀は持ち主の生が終わり、その役目を終えることを嫌がった。  あまりにも血を吸いすぎた妖刀は、次々に人の手にわたっては辺りを血に染め、持ち主を鬼へと変貌させていった。    

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop