愛しの魔王サマ
「ま、マオさま!?そのお怪我どうなされたんですか!?」
「・・・鏡を殴ったら切れたのだ」
「殴ったんですか!?こんな血が・・・」
「すまない。お前の服も汚してしまったな」
見れば背中に俺の血がべっとりとついてしまっていた。
新しいものを用意してやらなければ。
「私の事はいいのです。それより、手当てを。あ、アドルフさまをおよび・・・」
「お前がしろ」
「え」
「だから、お前がしろと言ってる」
「・・・かしこまりました。では、まいりましょう」
エマが俺の傷口に綺麗な白いハンカチを当て立ち上がる。
手を引かれるように部屋へと戻った。
俺が歩いてきた道にはぽつぽつと赤い血がつながっていて。
「まぁ、軌跡ですね」
「す、すまない」
「いえ。後で綺麗にしておきますね」
すっかり、丸くなったものだと以前に増してよくしゃべり、表情も変わるようになったエマを見て思う。
俺も、変われるだろうか。
こんな、ウジウジと悩み鬱憤をこんな風に発散することしかできない俺も。
「エマ、今日は俺の側にいろ」
「・・・はい、マオさま」
心地のいい、こいつの側でなら。