愛しの魔王サマ
「姉、だと・・・?」
あいつには、兄弟がいたのか・・・?
「エマ=アントナが、この魔王城に捕らわれている。そう調べはついています。・・・姉ちゃんを返せ!」
最後は感情的になり、年相応な子どもっぽさが露見する。
トマは眉を寄せ立ち上がり今にも掴みかからんとする。
「捕らわれている・・・?ふざけるな。別に捕らえているつもりはない。あいつが望むなら、いつだって手放す」
俺はそう言い切る。
そう言い切ると、なぜだか胸が苦しくなった。
手放す・・・。
そんな事、考えたことなかったな。
なぜだか、これからも変わらずあいつが隣にいるのだろうと。
あいつは人間だった。
あいつは人間で、俺は魔王で。
そうであることすら忘れていた。