アナタの過ち



『…そんなわけないじゃん』

嘘をついた。

「そうだよね、よかった」

「そうだよ、ありえないよ」

「そんな女、引くよね」

「うん、無理。気持ち悪い」

周りから否定の言葉が次々と聞こえてくる。

別に、私自身を否定してるわけじゃないよ。
わかってるよ。

でも、私は自分という人間を否定された気持ちになった。

人として、とか。
その行動に対して、とか。

そんなのじゃなく。

"永嶋悠奈"を否定された。

あれ?半分は正解なのかな?

よくわからない。



なんとなく泣きたかった。

でもいつも通り泣かなかった。

泣けなかった。

自分でわかってたもの。


ただ、第三者からやっと。

それは過ちだと。

ハッキリと。

聞かされただけだ。


逃げてきた私はもう逃げられない。







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