アナタの過ち
奴隷もどき



私は1人、駅へ向かう地下道を歩いていた。

「すいません…」

いつも通りのナンパ。

『なに?』

振り返りもせず、足も止めず、そっけなく答える。

「あの…」

『…』

歩き続ける私。 追いかける男。

「あの…」

なかなか何も言わない男に苛立ちを感じ、足を止めてこう言い放った。

『なんなの?』

見た目はいかつく、身長も高かった。


「…」

『…』

なんだ…若いじゃん。

「…」

何も言わない男。

『何?ナンパ?はっきりしてよ』

「あの…」

『…』

「あの……ぃじめてくださぃ…」

『…は?』

時間が止まった気がした。


「あの…」

『いや、なんなのそれ。どういう意味?』

「奴隷にしてほしいんです。あなたの為ならなんでもします…」

『なんで私?』

「綺麗だから…」

『…』

15歳…高1にして、私は男を金としか見ていなかった。

「…」

『…』

周りの皆みたいに、恋愛なんてできなくて。

「…」

『…』

会話に入る為に、好きな人がいるなんて嘘をついて。

「…」

『…』

疲れる。

「…」

『いーよ』

「本当ですか!?」

『うん』

「じゃあ連絡先教えて下さい!」

『うん』

そしてお互いに連絡先を教え合い、私達はその場で別れた。

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