見えない何かと戦う者たちへ

さんっ!


「げっ」

明日香は全力で嫌な顔をした。

目線は
垣内のお昼御飯だ。

彼の今日のお昼は
カツ丼弁当だ。

売店に売ってある中でも
相当な人気をほこっていてすぐになくなってしまうほどのものだ。

そんな貴重な弁当に
彼は彼好みの味付けにしている最中だった。






「明日香、諦めろ」

「それ、おいしいのぉ?」

「美結、絶対不味いから近づいちゃダメよ」

「何にも興味津々な美結、かわいいー」



ソノ、美結、明日香、懍は
各々昼御飯を広げた。

ソノは自分で作ったのだろう、
弁当を丁寧に包みから取り出した。







「できたー!俺のサイコー傑作うぅぅぅ!!!」

そう言って机の上に片足をのせ、
弁当を高々と上げた。






「「うっさい、垣内」」

明日香とソノは同時に言った。

思わず美結は笑った。




垣内もおずおずと
きちんと席に座った。

「あーーーっ!!!」

急に叫んだ垣内に
すごい形相で振り返った人物の名前は言うまでもない。





「俺としたことが、これは最高ではないっ!」

またまた叫んだかと思いきや
自分の席に戻るなり赤いなにかが入ったビンを持ってきた。

「…めずらしく、入れないと思ってたら…」

「なっ!?お前はこの俺が見捨てると思ってたのか!?」





二人のやり取りに
懍が目を輝かせた。

むしろ
食い入るように二人を見つめている。

明日香と美結は
またかぁと顔を見合わせた。





「えっえっ
二人はいつの間にそんな関係に!?」

懍は息をあらげながら
二人へ近づいていた。

さすがに気づいた垣内とソノは
のけぞった。





「あっ私なんて気にせずに続けて」

「よしっ!続けるかっ
て…なるかぼけー!」

なんとも古臭いノリツッコミを
垣内はかました。

懍は残念そうに
座った。





「…せっかく三次元でBL見れると思ったのに…」





懍の言葉は
誰も聞かなかったことにして
垣内が別の話題を引っ張り出した。







どうやら今日も
楽しい一日のようです。
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