見えない何かと戦う者たちへ

にい


この学校には
週番という1週間ごとに男女一人ずつ当番をする制度がある。

だいたい出席番号順の二名でやるはずなのだが
ソノはいつも一人でやっていた。

理由はソノ自身にあった。






「おーい、もうノート出すぞー!」


「待てそのぉーー!」

「行くな、その!」

「俺たちを見捨てるつもりかぁぁ!」




「…よしっ、出しにいってくるわ」





ソノは提出用のノートをまとめた。
数学Ⅰと数学Aのノートがそれぞれあるので束はかなりの量がある。
重さもなかなかだ。

ソノは手袋がきちんとはまっているか
もう一度確認してからノート達をもちあげた。

…が、
綺麗に一冊ずつ滑り落ちていった。





「うわー!大変だ!」

一人の声が高い女子が急いでノートを拾い始めた。

全部集めて
もう一度教卓の上に置いてくれた。




「いっぱいあるねー、
半分持っていこーか?」

彼女は
肩より少し長めの色素が薄い髪で全体的に
ふんわりした見た目だった。





だが、
ソノにはもっと他に引っかかるものがあった。





彼女は驚くほど
"白かった"。

何が白いって
肌はもちろんだがなんとなく彼女がはなつ雰囲気が
純白なのだ。

瞳の色もとても薄いグレーで
長いまつ毛も髪色と同じで薄い。





彼女に汚れというものは
一切ないように見えた。

それこそ
彼女が触れたものはすべて浄化するのでは?
と思うくらいだ。





「ん?どうかした?」

「あっいや、なんでもないです…」



彼女はそっかと言って先にノート達を持って
教室を出た。

ソノも慌てて彼女を追った。





彼女を見ると
なぜだか胸の中が真っ白になった気がした。



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