見えない何かと戦う者たちへ
いち
今日は金曜日
現在、
7限目の数学の授業中だ。
ソノは相変わらず
数学の授業だというのに
机に広げている教科書は別教科だがもうみんな慣れた。
一番慣れてはいけない先生でさえ
慣れ始めている。
数学の先生は基本
出席簿をみてテキトーに生徒に答えさせる人だ。
なぜか
垣内があたることが多くいつも「また俺かよぉ~」と
いうお決まりのセリフで教室は賑やかになる。
だかしかし
今日はなかなか垣内があたらない。
そろそろ教室もざわざわし始めた。
見かねて先生が次の問題を
誰かにあてようと数字を考え始めた。
「じゃあ今日は
1がつく日だし出席番号一番のやつ!
前来て黒板に書けー」
先生の何気ない言葉に
クラス全員が一斉に顔を上げた。
どの顔も「あんたは鬼か!?」と
訴えている。
そんな生徒たちの顔を見て
恐る恐る出席簿の一番上の名前を見る。
『一番:相田 その』
わあーおっ!
さすがに先生も気づいてあごを
落としそうになった。
(先生としたことが
まさか潔癖症の相田そのに黒板に書けなんぞ…
できるわけがない!なんて教師だ!
すまん!相田その!)
心の中で反省しまくった先生は
睨んでくる生徒たちに笑顔を見せた。
「相田っ!無理しなくていいぞっ!
その場で答えてくれても構わない。
なんなら垣内に答えさせてもいいんだぞ!」
「えっちょっと先生
俺の扱いだけひどくない?」
また教室に笑顔が戻った。