見えない何かと戦う者たちへ

ソノが頭を真っ白にさせ
そして心を落ち着かせている間、
先生と生徒はなんとかして顔を戻そうとしていた。


だが驚きが大きすぎて
どうも顔がでしゃばる。

生徒たちはソノが最近なんだか
様子が違うのは薄々気づいていた。



前よりも人との距離を取ろうと
しなくなったのだ。

だからといって
ボディータッチなどをするようになったわけでも
話す回数が増えたわけでもない。




なんだろう、
見えないオーラが変わったように思えるのだ。






だとしても
今回の行動はひどい潔癖症のソノには酷だ。

なのに
それに立ち向かおうというならば…

ここにいる全員で
秘かにひっそりバレないように応援するしかないっ!



教室にいた生徒の思いは一つだった。






その思いがクラスメイト全員に
同じ"祈り"のポーズをさせていた。

みんな両方こぶしをおでこの前に
持ってきて目を閉じ何か念を送っている。






懍はなんだか嬉しくなってきた。

いつも自分はまじないやのろいを
やっているからみんなが同じように何か念を送っている姿が嬉しいのだ。


(みんな私のな・か・ま)

(…ゾクッ!)


悪寒を感じたのは
明日香だった。

明日香はみんながソノのために
先生を睨んだり祈りのポーズをしている姿に
ついつい表情が柔らかくなる。



(あっ明日香がにやけてる…)



明日香の微笑んでいる姿を目にしたのは
垣内だった。



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