見えない何かと戦う者たちへ

ここから先は
番外編ですので読まなくても大丈夫です。


『それぞれのバレンタインday』






ー見た目はかっこいい懍のバレンタインdayー

「懍ちゃん、
今年はどんなので行くの?」

「フフフ、今年は超王道で行くから
期待しててね」



懍は教室が見えてくると
美結を置いて走り出した。

バーンっとドアを
開けると見事、机の上に箱やら紙袋が置かれている。

近寄ってみてみると、
やはり差出人の名前がないものが多い。




「へぇー懍、すげぇじゃん
それ全部もらうのか?」

垣内はきゅうり味と書かれた紙パックジュースを
飲みながら言った。



「…いや、私
本命しかもらわない主義だから」

「はぁ?全部本命だろ
てか名前無いのにどうやって返すんだよ」

「そういう本命じゃ…
って垣内うるさい!ちょっと黙って!」



懍は机を前に目を閉じた。

何か集中しているみたいだ。

そのときちょうど
ドアを美結が開けようとした。




ガバッガバッガバッガバッガバッ‼





懍は一瞬にして机のチョコを
すべて袋に詰め込んだ。

そして目を細め
気味悪げに口元をゆるめた。

…どこからみてもただのイケメンだった。




「…今年も王子でいくのか?」
「…いやSキャラじゃね?」

小さな声で懍と同じ中学だった奴らが
そわそわしだした。





「やあ、美結
俺に何か用かい?ないならなぜここへ?
そんなに俺といたかったか」

懍は急に一人称を"俺"に変えてきた。

というか、
用も何も同じクラスなんだし来て当たり前だろ
美結は?急にあんなこと言われても大丈夫なのか?
というツッコミを垣内は押さえた。



「懍ちゃん…懍くん、」



まさかの、言い直したっ!
えっ美結もノリノリなのか!?



「なんだよ、用があるなら早く言え
それともアレか…ほしいのか」

そう言って懍は
美結のあごを手で舐めるように触る。

垣内はアレは女同士女同士と
心の中で唱えた。



「きょっ今日は違うの!
あっあのね、懍くんにもらって欲しいものがあるの」
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