ねずみ小僧次郎吉 ~猿と猿回し~
七、八歳の子どもが駆けて来る。

手に、その手の平よりも大きいリンゴを、さも大事そうにかかえて。

泥だらけの顔に、妙に目だけをギョロつかせている。

幼い頃の次郎吉そのものだった。

次郎吉の心に、ムクムクと湧き上がる物があった。
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