小さな恋、集めました 【学園編・1ページの短編集】
クラスメイト・翔と放課後、教室
「今夜一晩付き合え」
 放課後、席でペットボトルの紅茶を飲んでいたあたしは、思わず紅茶を翔の顔に噴き出しそうになった。
「つ、付き合えって!?」
「桜は晴れ女だからな。今晩、俺と一緒に商店街に来い」
「いや、その流れ、全然意味わかんないし」
 あたしの言葉を聞いて、翔はがしがしと髪の毛をかきむしった。
「商店街の星祭りにジンクスがあるんだよ。夜、短冊に星の光が降り注いだら、願い事が叶うって」
「そんな迷信、信じてんだ」
「絶対に叶えたいからな」
「ふーん」
 その星祭りには、別のジンクスもあるって、翔、知ってるのかな。
 笹飾りの前で好きな人と一緒に星の光を浴びたら両想いになれるって言われてるんだ。だから、商店街の星祭りは毎年かなり賑わっている。それも片想いの男女で。
「桜は知らないだろうけど、ほかのジンクスもあるんだ。それには絶対に桜に来てもらわなくちゃいけない」
 翔が真顔で私を見た。頬骨の辺りが赤く染まっている気がする。
「おまえじゃなきゃダメなんだ」
 照れ隠しのぶっきらぼうな言葉。もうそれだけで嬉しいんだけど。

【了】
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