モテ子☆モテ男の恋愛事情。
純粋な疑問だった。
だから、特に何かを疑っていたわけじゃない。
今まで、櫻井とそんな話をしたことは一度もなかったから。
なんとなく気になっただけ。
すぐ近くに櫻井の仲間がいるのだろう。
楽しそうな声が、俺たちのところまで届き始めていた。
その中には女子の声もまざって聞こえる。
そういえば前に、男も女も関係なく遊んでるって話していたことを思い出した。
「は? どうした急に」
「いや。それって女もんじゃん」
どう見たって。
ピンクの花柄のタオルは、おまえのじゃないだろう…
どうせ、今日集まってるメンバーのものを奪ったから、無理やり貸してもらったか。
そんなところだろうと、勝手に解釈していると。
「ああ、これ?」
俺の視線をたどって行き着いた自分の首にかかるタオルを摘んで見せる。
少し伏せたその表情が、微かに緩んだような気がして。
また、ザワザワと胸中がうるさくなっていく。
「このタオルはな……」
櫻井の言葉が途中から聞こえなくなったのは。
俺の視界の中に映りこんできた、サラサラとなびく髪のせい。