Another moonlight
その写真を今度はカンナに見られないように、枕の下に隠した。

カンナは何か言いたげだったけれど、しつこく見せろと言ったりはしなかった。


その後、アルバムを見終わったカンナをバス停まで送った。

ここ最近カンナとは頻繁に会っているが、セックスはしていない。

気付けばいつも、カンナの体を抱きながら、心の中ではユキを抱いている。

それがどんどん後ろめたくなって、カンナの体に触れることも煩わしくなってしまった。

この間までは体ばかり求めたくせに、急に触れることもしなくなったことを、カンナは不審に思っているかも知れない。

だけどもう、アキラ自身がカンナとの関係に限界を感じている。

いい加減ハッキリさせないと。

そう思っているうちに、時間ばかりが過ぎていく。


バスに乗る間際、カンナは言った。

「私、早くアキくんと暮らしたいな。そうすればずっと一緒にいられるでしょう?」

アキラが返事をする間もなく、カンナはバスに乗って帰っていった。


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