Another moonlight
「ユキちゃーん、なんか外国のすげぇ高いお菓子くれるってよー!こっちおいでー!」

常連客が海外旅行のお土産を振る舞っているらしく、店の奥からマナブが大声でユキを呼んだ。

マナブは笑ってユキに手招きしている。

振り返って席を立とうとしたユキの手をアキラが掴んだ。

ユキは驚いてアキラを見る。

アキラは頬杖をついて顔を隠すようにうつむいたまま、ユキの手を握りしめた。

「……行くなよ。」

「え…?」

「どこにも行くな、ユキ…。ずっと、オレのそばにいてくれ…。」

うつむいたアキラは耳まで真っ赤になっている。

ユキは嬉しそうに笑みを浮かべて、その手を握り返した。

「最初から素直にそう言えよ、バーカ…。」

「バカはお互い様だ、バーカ…。」

アキラは少し顔を上げて照れ臭そうに呟いた。

ユキはアキラの顔をイタズラっぽい目で覗き込む。

「しょうがねぇから、ずっとアキのそばにいてやる。」

アキラは照れ笑いを浮かべながら、ユキの手をもう一度ギュッと握った。

「しょうがねぇのかよ…。まぁ…ユキがいりゃ、それでいっか…。」





マナブは離れた場所からアキラとユキの後ろ姿を見て微笑んだ。

二人は少し照れ臭そうに笑みを浮かべて、その手はしっかりと握り合っている。

(やっと仲直りか…いや、それ以上か?ホントに世話が焼けるな、あいつら…。)

どうやらユキが嫁に来ることはなさそうだと、マナブは嬉しそうに笑った。




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