【Berry's Cafe版】やっぱり君にはかなわない〜花と光と奏でSS
音の溶けた空間からリビングに移り、

今はまっ赤なソファーに二人で並び、座っている。



膝の上に重ねられていた手を取り、

紡がれた言葉は、俺の中にある切望ならぬ野望。



「"16"で言うはずだったことを、紫音の歌が嬉しすぎて…また先走ったけどな。

だから、覚悟しといて。

現在(いま)も、これからも…その未来(さき)も……
全力で愛していくし、離さないから」

『………これ以上…私にどうなれと?

もう……煌暉くんの全部で溶けそうなのに……』



困った表情での、甘い声の囁き……


漏れ出た唇に親指の腹を当て、

顎を支えた指先で、その顔の角度を変えた。





「溶けて……」





俺はそう囁き、


またそこに口づけた。






< 119 / 139 >

この作品をシェア

pagetop