狩人
一章「救いの道」
「狩人」プロローグ「反逆」

パァン…
森の中にざわめきが響いた。
いつからこんな事になってしまったのだろうか…

最初は敬われていた能力者も今となりゃあ化け物扱い。
駆除だと…?ふざけやがって…
俺達が何をしたっていうんだ。
当然のごとく、散歩をしていた時にいきなり叩かれて仲間が殺されて…
こんな酷い話があるか。

あぁ…意識が薄くなっていた。
そもそもこんな薄着で来たことが間違いだったのだ。
避難警告だから焦っていたのだろう。
おかげさまで右腕から血が垂れ流しだ。

「いっそのこと死んでやろうか…」

…ハッ!?ダメだ!ダメだ!
より不安を寄せる方に考えていたら身も心も持たない。
まだやり遂げねばならぬことがある。
夢を…そう、もう一度…もう一度戻したい…あの頃の日常に。

やはりそんな夢は叶えられそうにない。
矢が飛んできた。物凄い速さで。
ふと音のした方、木の上を見ると三人…いや…四人か。
矢を構えている男がいる。しかも体つきがかなりの筋肉におおわれて。
まるであれだ、狼男ってやつか…
ハハッ…月も出てねえのに…。
矢という牙を構えてこちらを威嚇をしている。
「あぁ、終わったな。」
出来ればまだ死にたくはなかった。
しかし仕方がない。こうなってしまった以上、死を認めるしかないのだ。

ヒュン…
それは静かだった。牙が解き放たれた。
四本の矢がこちらに音もなく向かってくる。
この瞬間終わりを認めただろう。


俺が最後に見た景色は、青色の光が俺を包み込んだ情景だった。
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